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性感染症(STI/STD)は誰でも感染する可能性がある身近な健康問題です。この記事では、性感染症の基礎知識から最新の予防法、検査・治療に関する情報まで、Q&A形式でわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、自分自身とパートナーの健康を守りましょう。
- 性感染症とは何ですか?
- 性感染症(STI: Sexually Transmitted Infection)または性行為感染症(STD: Sexually Transmitted Disease)は、主に性的接触によって感染する病気の総称です。
性的接触には、膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなども含まれます。また、一部の性感染症は血液を介した感染や、母子感染などの経路もあります。
性感染症は見た目や症状だけでは感染しているかどうかわからないことが多く、無症状でも感染していて他者に感染させる可能性があります。そのため、定期的な検査と予防が重要です。
- 性感染症はどのくらい一般的なものですか?
- 性感染症は非常に一般的で、世界中で毎日約100万人が新たに感染していると言われています。日本国内でも、特に梅毒の感染者数が2011年以降増加傾向にあり、2022年には年間感染者数が10,000人を超えました。2024年に入ってからもこの傾向は続いており、感染者数は過去最多を更新し続けています。
特にクラミジア、淋病、性器ヘルペス、HPV(ヒトパピローマウイルス)などの感染者数は多く、性的に活発な人の4人に1人は何らかの性感染症に感染した経験があるというデータもあります。
国内の主な性感染症の報告数(2024年最新)
性感染症 | 年間報告数 | 特徴 |
---|---|---|
梅毒 | 約13,200件 | 急増中、特に20〜40代 |
クラミジア | 推定24万件 | 最も一般的、無症状も多い |
淋病 | 推定3万5千件 | 若年層に多い |
性器ヘルペス | 推定20万件 | 生涯保有、再発性あり |
HIV/エイズ | 約1,500件 | 感染者の20%が感染に気づいていない |
※数値は厚生労働省および国立感染症研究所の2024年データに基づく推計値
- 代表的な性感染症にはどのようなものがありますか?
- 性感染症は大きく分けて「細菌性」「ウイルス性」「原虫性」の3種類があります。それぞれの主な症状と特徴は以下の通りです:
- クラミジア:最も一般的な性感染症。多くの場合無症状だが、女性では下腹部痛や不正出血、男性では尿道炎症状がみられることも。不妊の原因になることがある。
- 淋病(りんびょう):排尿時の痛みや膿のような分泌物が特徴。近年、抗生物質耐性菌が問題に。
- 梅毒:初期は感染部位に無痛性の硬いしこりができ、第二期には全身に発疹が現れる。治療せずに放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性がある。
- HIV/エイズ:HIVウイルスによる感染症。初期はインフルエンザに似た症状が現れることがある。治療により感染者の寿命は大幅に延びているが、完全な治癒法はまだない。
- 性器ヘルペス:水ぶくれや痛み、かゆみが特徴。一度感染すると体内に潜伏し、定期的に再発することがある。
- HPV(ヒトパピローマウイルス):多くは無症状だが、一部の型は子宮頸がんや肛門がんなどの原因に。ワクチン接種で予防可能。
- B型肝炎:肝臓に影響を与えるウイルス。性行為や血液を介して感染する。ワクチンで予防可能。
- トリコモナス:女性では泡状の悪臭のある帯下(おりもの)、男性では軽度の尿道炎症状が特徴。
- カンジダ:強いかゆみと白いチーズのような分泌物が特徴。厳密には性感染症ではなく、膣内環境の変化などでも発症する。
- 性感染症の症状にはどのようなものがありますか?
- 症状は感染症の種類や個人によって異なりますが、以下のような症状がある場合は性感染症を疑い、検査を受けることをおすすめします:
- 性感染症を予防するにはどうしたらよいですか?
- 性感染症の予防には以下のような方法があります:
- コンドームの正しい使用:性行為(膣性交、アナルセックス、オーラルセックス)の際にコンドームを正しく使用することで、多くの性感染症のリスクを低減できます。
- 定期的な検査:新しいパートナーとの関係を始める前や定期的に検査を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。
- ワクチン接種:HPV(ヒトパピローマウイルス)やB型肝炎などはワクチンで予防できます。
- パートナー数の制限:複数のパートナーとの性的関係は感染リスクを高めます。
- オープンなコミュニケーション:パートナーと性感染症や検査について話し合うことも重要な予防方法です。
いずれの方法も100%の予防効果はありませんが、複数の予防法を組み合わせることでリスクを大幅に低減することができます。
- コンドームはどのように正しく使えばよいですか?
- コンドームは正しく使用することで85〜98%の避妊効果があり、多くの性感染症予防にも効果的です。以下の手順で適切に使用しましょう:
使用期限内のコンドームを使用します。爪を短く切り、鋭利なアクセサリーは外しておきましょう。
パッケージの端を指でつまみ、歯や鋭利なもので開けないように注意して開封します。
勃起した状態のペニスにのみ装着します。精液溜まりの部分を指でつまみ空気を抜いた状態で先端にあて、もう片方の手でペニスの根元まで完全に展開します。
コンドームが破れたり抜けたりしていないかときどき確認しましょう。潤滑不足の場合は水性の潤滑剤を使用します(油性のものはコンドームを劣化させるため避けてください)。
射精直後、まだ勃起が続いている間に根元を持って慎重に抜き取ります。精液が漏れないように注意しましょう。
使用済みコンドームは結び目を作ってからゴミ箱に捨てます(トイレに流さないでください)。
- コンドーム以外の予防法はありますか?
- コンドームが最も一般的な予防法ですが、それ以外にも以下のような方法があります:
女性器や肛門へのオーラルセックス時に使用する薄いラテックスシート。直接接触を防ぎ、性感染症の予防に役立ちます。専用のものを購入するか、コンドームを切って作ることもできます。
HPVワクチン:子宮頸がんの原因となるHPVの主な型に対するワクチン。男女ともに接種可能で、性行為を始める前の接種が最も効果的です。日本では小学校6年生から高校1年生相当の女性には定期接種として無料で受けられます。
B型肝炎ワクチン:2016年10月以降に生まれた子どもには定期接種となっていますが、それ以外の方も任意接種として受けることが可能です。
HIV感染リスクの高い人がHIVに感染する前に予防的に抗HIV薬を服用する方法。日本では2023年から保険適用されるようになりました。医師の処方が必要です。
定期的な検査は予防そのものではありませんが、早期発見・早期治療によって感染拡大を防ぐ重要な対策です。新しいパートナーと性的関係を持つ前に互いに検査を受けることも有効な方法です。
- 性感染症の検査を受けるべきタイミングは?
- 以下のような場合は、性感染症の検査を受けることをお勧めします:
- 新しいパートナーとの性的関係を始める前
- コンドームなしで性行為をした後
- コンドームが破れたり抜けたりした場合
- 性感染症の症状がある場合
- パートナーが性感染症と診断された場合
- 性的に活発な場合は、症状がなくても定期的に(3〜6ヶ月ごと)
ただし、検査のタイミングは性感染症の種類によって異なります。例えば、HIVの場合は感染から検査で検出できるようになるまで通常4週間程度かかります。検査を受ける際は医療機関に相談してください。
- どこで検査を受けられますか?
- 性感染症の検査を受けられる主な場所は以下の通りです:
- 泌尿器科
- 婦人科
- 性病科
- 皮膚科
- 内科(一部)
保険証を使用すると3割負担。ただし、保険証を使用する場合、病名が保険会社に通知される可能性があります。
- 全国の保健所
- 検査・相談センター
HIV検査は無料・匿名で受けられる場所が多い。その他の性感染症も自治体によっては無料または低額で実施。
- 自宅で採取し、郵送で結果を受け取る
- 匿名性が高い
自費(5,000円〜15,000円程度)だが、プライバシーを保ちやすい。信頼できる機関のキットを選ぶことが重要。
- アプリで申し込み、提携医療機関で検査
- 結果はアプリで確認
近年増えているサービス。予約から結果確認までスムーズに行える。自費での検査になる。
検査の種類や価格は医療機関や地域によって異なります。不安がある場合は、まず相談窓口に問い合わせてみましょう。
国内の主な相談窓口
- HIV/エイズ、性感染症電話相談:0120-177-812(平日10:00〜17:00)
- 電話での相談(東京都HIV/エイズ電話相談):03-3227-3335(受付時間:月曜日から金曜日まで 正午から午後9時まで/土曜日・日曜日・祝日 午後2時から午後5時まで ※年末年始をのぞく。)
- 各都道府県・市町村の保健所
※電話番号は2025年4月現在のものです。変更されている可能性もありますので、詳細は厚生労働省や各自治体のウェブサイトでご確認ください。
- 性感染症と診断されたらどうすればよいですか?
- 性感染症と診断された場合の対応について解説します:
医師の指示通りに治療を完了することが最も重要です。症状が改善しても、処方された薬は指示された期間、きちんと服用しましょう。中途半端な治療は再発や薬剤耐性菌の発生につながります。
現在および最近のパートナーに自分の感染を伝え、検査を受けるよう勧めることが重要です。これは感染拡大を防ぐためだけでなく、パートナー自身の健康のためにも必要なことです。
治療中は他者への感染を防ぐため、性行為を控えましょう。医師から「安全」と言われるまで待つことが重要です。
治療後、医師が推奨する場合はフォローアップ検査を必ず受けましょう。これにより治療が成功したことを確認できます。
治療後、医師が推奨する場合はフォローアップ検査を必ず受けましょう。これにより治療が成功したことを確認できます。
今後の感染予防のために、自分の性行動やリスク要因を見直し、必要に応じて予防策を強化しましょう。
- 性感染症は治療できますか?
- 性感染症の治療可能性は種類によって異なります:
分類 | 代表的な感染症 | 治療可能性 | 特記事項 |
---|---|---|---|
細菌性 | クラミジア、淋病、梅毒 | 完治可能 | 抗生物質での治療が基本。早期治療が重要 |
原虫・真菌性 | トリコモナス、カンジダ | 完治可能 | 専用の抗菌薬・抗真菌薬で治療 |
ウイルス性 | ヘルペス、HPV | 管理可能 | 完全に排除することは難しいが、症状や感染力をコントロール可能 |
ウイルス性 | HIV/エイズ | 管理可能 | 抗レトロウイルス療法で長期にわたり健康を維持可能 |
ウイルス性 | B型肝炎、C型肝炎 | 一部治癒可能/管理可能 | C型は治癒可能、B型は長期管理が必要な場合が多い |
治療の成功率は早期発見・早期治療によって大きく向上します。症状がなくても定期的な検査を受けることをお勧めします。
また、近年の医学の進歩により、従来は「管理のみ可能」とされていた一部のウイルス性感染症も、より効果的な治療法が開発されつつあります。最新の治療法については医療機関にご相談ください。
- パートナーと性感染症について話し合うにはどうすればよいですか?
- 性感染症について話し合うことは決して容易ではありませんが、お互いの健康を守るために非常に重要です。以下のポイントを参考にしてください:
プライバシーが確保され、十分な時間がある落ち着いた環境で話し合いましょう。性的な場面の直前ではなく、お互いがリラックスしている時が理想的です。
「私たちの健康のために大切な話があります」といった形で始め、事実に基づいて話しましょう。感染している場合は、いつ検査を受けたか、現在の治療状況などを正直に伝えることが重要です。
相手はショックを受けたり、怒りや不安を感じたりするかもしれません。こうした反応に対して理解を示し、必要であれば時間を与えましょう。
性感染症に関する正確な情報、検査を受けられる場所、予防方法などについて情報を共有しましょう。信頼できる医療情報源からの資料があるとより説得力があります。
一緒に検査を受ける、予防法について学ぶ、治療を続けるなど、具体的な行動計画を立てましょう。お互いの健康を守ることが目的であることを忘れないでください。

お互いの健康のために大切な話をしたいと思ってます。私は先月性感染症の検査を受けたんだけど、あなたも一緒に検査を受けてみない?お互いに安心できると思うんだ。どう思う?

正直に話したいことがあります。先日検査を受けたところ、クラミジアに感染していることがわかりました。すでに治療を始めていて、医師からは2週間で完治すると言われています。せいこも検査を受けてみない?一緒に病院に行くし、どうする?
- オーラルセックスでも性感染症に感染するのですか?
- はい、オーラルセックスでも多くの性感染症は感染する可能性があります。特に以下の感染症はオーラルセックスでの感染リスクが知られています:
- のどの淋病・クラミジア感染症
- 口唇・口腔内ヘルペス
- 梅毒
- HPV(ヒトパピローマウイルス)
- HIV(リスクは膣性交・肛門性交より低いが可能性はある)
オーラルセックス時にもコンドームやデンタルダム(女性器や肛門へのオーラルセックス用の薄いシート)を使用することで、これらの感染リスクを低減できます。
- 妊娠中に性感染症にかかるとどうなりますか?
- 妊娠中に性感染症に感染すると、母体の健康だけでなく胎児にも影響を与える可能性があります:
性感染症 | 母子への影響 |
---|---|
梅毒 | 流産、死産、先天性梅毒(皮膚症状、骨や歯の異常など) |
クラミジア | 早産、新生児結膜炎、新生児肺炎 |
淋病 | 早産、新生児結膜炎 |
性器ヘルペス | 新生児ヘルペス(重篤な場合、致命的になることも) |
HIV | 胎児へのHIV感染(適切な治療で感染リスクは大幅に低減可能) |
B型肝炎 | 新生児B型肝炎(出生後すぐのワクチン接種で予防可能) |
妊娠中または妊娠を計画している場合は、性感染症の検査を受けることが重要です。妊娠初期の検診では通常、いくつかの性感染症検査が含まれていますが、リスク要因がある場合は追加の検査を医師に相談しましょう。
- 無症状でも性感染症に感染していることはありますか?
- はい、多くの性感染症は症状がなくても感染していることがあります。これが性感染症が広がる主な理由の一つです。例えば:
- クラミジア:感染者の約75%の女性と50%の男性が無症状
- 淋病:女性の約50%、男性の約10%が無症状
- HIV:感染初期の症状はインフルエンザに似ており、その後数年間無症状のことが多い
- HPV:ほとんどの感染者が無症状
- 梅毒:症状が出ても自然に消えることがあり、気づかないことも
このため、性的に活発な方は症状がなくても定期的に検査を受けることが重要です。特に新しいパートナーとの関係を始める前には検査を検討してください。
- 若者が特に注意すべき性感染症は?
- 若年層は生物学的・行動的要因により性感染症のリスクが高い傾向にあります。特に注意すべき性感染症は:
- クラミジア:15〜24歳の若者に最も多く、不妊症などの合併症リスクがある。
- HPV:性的活動を始めた若者の80%以上が一生に一度は感染すると言われている。子宮頸がんの主な原因となるが、ワクチンで予防可能。
- 淋病:若年層での感染率が高く、近年では抗生物質耐性菌が問題に。
- 性器ヘルペス:一度感染すると完治は難しく、生涯にわたって再発する可能性がある。
若年層向けの予防策のポイント:
- 正しい性教育を受ける
- コンドームを常に正しく使用する
- HPVワクチンを接種する(男女とも)
- 定期的な検査を受ける
- オープンなコミュニケーションを心がける
性感染症は適切な予防と早期治療で多くを防ぐことができます。恥ずかしがらずに必要な情報を得て、健康を守る行動を取りましょう。
性感染症予防の基本は「知識」「予防」「検査」「治療」「コミュニケーション」の5つです。
- 正しい知識を得る:性感染症の種類、感染経路、症状について理解しましょう。
- 適切な予防法を実践する:コンドームの正しい使用、ワクチン接種など。
- 定期的に検査を受ける:症状がなくても感染している可能性があります。
- 早期に適切な治療を受ける:診断されたら医師の指示に従って治療を完了しましょう。
- オープンなコミュニケーションを取る:パートナーと性感染症について話し合うことも予防の一環です。
性感染症は誰にでも起こり得るものであり、恥ずかしいことではありません。自分の健康はもちろん、パートナーの健康を守るためにも、予防と定期検査を心がけましょう。
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参考文献・データ出典
- 厚生労働省「性感染症報告数」2024年データ
- 国立感染症研究所「梅毒発生動向調査」2024年版
- 日本性感染症学会「性感染症診断・治療ガイドライン2023」
- 世界保健機関(WHO)「性感染症ファクトシート」2024年改訂